米の品質により、糀づくりが変わってきます。三代目自ら、厳選したお米を使用しています。
浸漬は糀づくりにおいて重要な工程。お米の種類、年度によって、目で確かめながら浸漬時間を変えています。
抜け掛け法により、お米が飴色になったところに、お米を入れ、均等に蒸せるように丁寧にやっていきます。一気に全部入れて蒸す方法はありますが、蒸しむらが出てしまい、芯が残ったりし、糀に影響します。
抜け掛けが終わったあと、蓋を閉めて弱い蒸気で蒸します。お米の品質によって、蒸し時間を変えております。
今度は蒸したお米を放冷機で冷却します。
熱いままだと、糀菌をつけても菌が死滅してしまいます。種付けの温度がとても重要で、夏場は34度、冬場は36度で引き込みます。40度を超えてしまっていると菌が死滅し、30度以下だと糀菌が発芽しません。送風機をつけたり止めたりすることで温度を管理していく、いわゆる職人技が必要です。
糀菌をつけた蒸米が4時間後発芽し、8時間~10時間頃から発熱し始めます。
18時間後(翌日の朝7時頃)には40度を超える温度になっています。
朝の切り返しで、糀室に移します。40度になっているものを冷ます作業と糀の固まりを壊す目的でやります。ここでいかに丁寧に糀の固まりを壊すかでいい糀ができるか決まります。また、この時点で白くなっていることが重要です。ここから温度設定をし、糀自身が発熱するため、送風して冷まします。糀の発育の最適温度は、35度付近が良いとされています。
段々に糀同士が菌糸を伸ばし絡み合うため、送風しづらくなって、品温が上昇してしまうため、固まった糀を壊すのと冷ます目的でやります。
ほとんどの味噌屋さんは今やっていないのですが、夜の管理と切り返しをやっております。夜9時くらいになるとまた菌糸同士が絡み合い、温度がすごく上昇してしまうのを防ぐため、品質の安定のためにやります。
3日の朝で麹となります。いい糀の匂いは栗の花の匂いで、ほんのり甘いのがいい糀です。
先ほどの話に出た、旨みのある味噌を作るためには、プロテアーゼを高める必要があるため、段々に設定温度を下げて、3時の切り返しでは33度まで品温を下げます。
低い温度で経過するとプロテアーゼの高い糀ができます。また逆に、甘い味噌(麹味噌、醍醐味白)は、高めの温度で経過させてアミラーゼの高い甘い糀を作ります。味噌の種類によって変えています。
大豆を浸漬し、次の日に蒸煮します。
蒸すと栄養分の流出が少なく、旨みが出ますが、クセと色味が付きます。煮ると栄養分が蒸す時よりも少なくなります。クセが少なくなり色はきれいです。その特徴を活かしながら、味噌の種類によって変えています。
大豆が堅すぎるとザラツキと生の大豆の匂いがするのと、柔らかすぎると大豆の香りがしません。ちょうど良く蒸煮するのが技術です。
放冷し、30度以下までに下げます。天然醸造系は20度付近まで下げます。ここで下げることにより長期熟成が可能になります。
味噌の種類によってメッシュの網目を変えます。白系はメッシュを細かいものを、赤系は発酵良く香りにいいものにするため、荒いメッシュを使います。
小さい混合機で少量ずつやっていくため、手間がかかりますが、ムラや混ぜ過ぎがなく、塩度のブレも少ないです。風味が落ちません。
この段階ですと、蒸煮した大豆と糀と塩がバラバラの状態でしょっぱいだけです。
いくら良い仕込ができても、熟成がちゃんとしないと、香りの良くうまみとコクのある味噌ができません。山万味噌は、希少価値の高い蔵付き酵母のついた木桶で熟成させているものと、小ロットのFRP桶などで熟成させております。